( 問題を先送りにする呉鳳明さん 作画引用元 原泰久先生 作 キングダム804話)
秦軍…、これは早速、幸運といいますか、呉鳳明さんが、洛紫落としを静観してくれたお陰で、初戦は事が昌平君たちの思惑通りに進む事が、出来そうな流れになってきました。
勿論、呉鳳明が語るように、秦軍を新鄭まで深く引き込んでから魏の大軍を発して秦軍を滅ぼす戦略も理解できます。
また、魏軍が援軍の動きを見せない以上、飛び地になってしまった趙が、これを率先して韓援軍に介入するのが難しいであろうという、李牧さん側の背景も理解できます。
そのため、今回は、趙が静観を決め込んでいるという点も納得できてしまう状況ですね。
ただし―、
この呉鳳明さんと李牧さんの戦略、彼らの見通しが成立するには、そもそも一番重要な論点について、一定の確証を得ているかが最も重要になってきます。
それが何かと云うと、単純に、秦軍と韓軍の戦力比較についてです。
この点に関する情報精度の程度によって、彼ら二人の結果は大きく異なってきます。
呉鳳明さんと李牧さんの決断が、上記のように、見事な❝後の先❞を取る秦軍迎撃作戦となるか?
それとも、援軍が間に合わないという、単なる❝手遅れ❞で終わってしまうのか?
結局のところ、秦軍のどの程度の速度、日程で、新鄭に迫るかを定量的に予測できなければ、呉鳳明さんも李牧さんも的確なタイミングで援軍を発する事ができません。
呉鳳明さん??
あんなに複雑(笑)な、庄弩や巨大井観車を設計施工したりして、物理計算やら測量計算が得意そうなのに…、
どうして今回は、そんなドンブリ勘定で居られるのでしょうか??
彼の頭脳や能力が高い事は重々承知なのですが、何やら、実力を注ぎ込む方向性が危ういような気がします。
そして、別段、韓を救うとか救わないとか以前の話で、どう考えても、地理的に洛紫は、早急に秦軍から奪還しなければならない要地です。
前回、呉鳳明さんご自身で、我々、読者の前に提示なされた図面では、洛紫は黄河を介して、秦の最大軍事都市である鄴と、韓の奥地である新鄭の、両国要地と明らかに接している事が分かります。
昌平君と王賁が、この点に気付いているか分かりませんが、秦軍が、そのまま洛紫の占領を続け、韓から魏に至る制水権を完全掌握したら、間違いなく人的流通が制限されて、魏と韓は大きな経済的損害を被るでしょう。
もちろん、黄河が海のように、巨大な遮断域として、韓と魏にとって、鄴を占領した秦軍に対して防壁のように機能していた側面が在るのは事実でしょうから、今まで、洛紫が手薄だったのは理解できます。
ただし、流石に一度占領されて、その後、魏軍が放置したままの期間が、一定以上に渡り続いたとなれば、流石に話は違ってきます。
まァ、もちろん歴史的には秦軍が勝利する事で確定しているのですから、結論から申し上げますと、呉鳳明さんも李牧さんも、❝問題を先送り❞した結果、援軍が手遅れになるという顛末を迎えるのが、今回の、魏軍の初動で分かり切ってしまった感が出てきました。
ではでは、今回もキングダム本編について、振り返っていきたいと思います。
キングダムネタバレ-初動で静観する魏と趙
冒頭で書きました通り、初動で“安牌”を選択した、魏軍と趙軍。
これは、取りも直さず秦軍にとって言い換えれば、一旦は、秦軍、昌平君らの思惑通りに、作戦導入が進んでいく事を意味します。
水軍を進める王賁。
王賁『これが黄河か。』
はい、めちゃクチャ広いです。
魏軍的には、どうやら水軍で迎撃する事は選択しなかったようです。
水軍の運用経験に乏しい玉鳳軍(しかも半分以上は急造兵)を相手に、魏軍が常設の水軍で迎撃してきたらヤバかったのですが、ここでも最悪の事態は免れました。
岸の水際で、火矢を使って迎撃します。
しかし―、
ここで何故か、背後の陸地から秦軍の急襲を受ける魏兵の皆さん。
どうやら王賁の策で、一部の小部隊が隠密裏に上陸を果たして、奇襲編成を組んでいたようです。
コレは王賁さん、見事です。
関常『やはり奴ら、この大船団に気を取られ、先に出た船に気付かなかったな。』
この辺りの、魏軍の挙動を見ると…、
どうやら、洛紫の配備リソースはカナリ限定的のようですね。
五万でも奇襲自体は成立すると、昌平君の方でも、洛紫の軍容を調査済みであったということなのでしょうか?
上陸を果たした王賁。
一個隊を後続渡河の為に残置して、そのまま洛紫城の攻略に移ります。
一方、魏軍本営の大梁ではどうでしょう?
秦軍上陸の報告ともに、そのまま洛紫城落城の報せが入ります。
洛紫城現地から、大梁までの距離と報告タイムラグがあるとは言え、抵抗らしい抵抗も出来ずに洛紫が陥落したことが伺えます。
ただ、これ自体には驚きを見せない、呉鳳明ら魏軍の首脳。
これは、もともと洛紫が中程度の城であったことと、その気になれば“いつでも奪還は可能”で在る事が分かっている点が、大きい様です。
呉鳳明『慌てる必要ありません。』
淡々と語る呉鳳明。
曰く、奪還は可能でも、それなりの軍容を要する魏軍。
ただ、現時点で韓の為に魏が早々と動くのは、いささか利に合わないと彼は語ります。
ハ璃『様子みると韓では何も起こってませんもんね。』
うーん??
静観の流にある魏軍首脳の面々ですが…、やはり、これはどうなんでしょう?
たしかに、まだ韓では何も起こってませんが、先に魏の領土が侵攻されているのは事実なのですから、“秦軍五万に対してこちらの軍容を揃えるのが勿体ない”とか、言っている場合ですか??
いずれにしても洛紫が魏の領土なのは事実ですし、どの道、取り返す必要がある上に、いつでも取り返せるなら、事態がより悪化する前に、洛紫を奪還して、昌平君の計画に修正必要を突き付け、最悪、韓国進軍そのものを遅らせる、又は、中止に追い込む方が、最終的に、韓軍・魏軍の動員規模を最小限に抑えることが可能だとは、何故、考えないのでしょうか??
呉鳳明さんは、“引き込んで最大戦力で戦えば勝つ”と考えているようですが、そもそも“10万規模の軍を動員しないで済ますにはどうしたらよいか?”というように、経済的な観点から、事態を最小限に抑える方向では物事を考えない方のように見受けられます。
普通に考えて、戦そのものの勝ち負け以前に、十万単位の人間を動員して移動させる、その食料や装備を一定水準で準備させること自体に、相当な資源とリソースを使うワケです。
❝利が大きい❞というなら、これはどちらの方が、大きいかは自明だと思うのですが、今回、呉鳳明さんが目先の利益の大小に拘って、洛紫の救援を先延ばしにしてしまった…。
それが今回、805話の前半数ページで語られた、この魏軍首脳会議での呉鳳明の“先送り決断”こそが、今回の韓攻めの、秦軍勝利の決定的要因になってしまった重要な局面であったと、個人的には考察するトコロです。
さて、秦軍が発した部隊は、玉鳳軍だけでなく、楽華軍を派遣した、黄都という駐屯地についても、ここで情報が開示されます。
今回、楽華軍が派遣された黄色とは、遼陽と鄴の中間地にある中規模都市であった事が分かります。
趙の南端都市である、武安から黄河までは、既に秦軍が遼陽と鄴の両都市を占領することで、隔絶しているのは事実なのですが、昨年までの連敗で、鄴と遼陽の両都市の予備兵力が消耗したため、両城の間にある広域な中間域を守る為に、楽華軍の動員が必要となった故が語られます。
陸仙『いくら何でも広すぎでしょ。守る幅!』
愛閃『趙が本気で抜きに来たら流石に全ては止められませんね。』
蒙恬『フッ、でも今回、それを止めなきゃならないんだよねー、俺達で。』
と、語る三人なのですが…、
流石に、これは、楽華の動員以前に、楊端和と王翦が頑張れよ!?と考えざるを得ません。
そもそも武安って、今や、閼与、遼陽、鄴の秦軍側の三大軍事都市に包囲されていて、ナンボ、王翦軍が消耗しとる云うたかて、迂闊に、韓の為に大規模援軍を派遣できるような立場の都市じゃないんですよ。
秦軍側からすれば、李牧さんと舜水樹が、韓に本気規模の援軍を出したら、楊端和と王翦でソッコー、武安をフルボッコにすればいいだけの話です。
普通に考えて、そんな王都さえガラ空きにさせかねない危険な援軍、あの遊牧王&豚の角煮(カクカイ)が許すワケが在りません。(笑)
よしんば、武安に一定兵力を温存する逐次戦力投入なら、そんな中途半端な援軍では、趙軍、何も出来ない上に、それこそ楽華軍に丁寧に狩られて終わりだと考えられます。
なので、今回、李牧さんが静観を決め込んでいるのは、呉鳳明さんとは違った理由で、私は理解できます。
李牧さんは、依然、番吾に駐屯しているようですが、武安に駐屯している馬南慈と舜水樹に下された命令は、『武安軍の練度を上げつつそのまま秦の動きを静観せよ。』とのものです。
この命令を受けた舜水樹。
舜水樹『韓が本当に亡国の憂き目に遭うなら大挙して出陣して楽華を砕いて黄河に出る。』
バフージ君『渡りの船は韓が喜んでだすでしょうね。』
舜水樹『その時は、恐らく魏も連動する。』
カイネ『その時は?』
馬南慈『韓の地にて、秦軍は大惨劇となる、再びな!ムハハハ!!』
とまァ…、
趙軍面々に言われたい言われたい放題の進軍です。
いくら何でもコレ、舜水樹相手に舐められ過ぎでしょ。楊端和に王翦。(汗)
いや?
勿論、あのスターウォーズのクローン兵士みたく、相も変わらず無尽蔵に兵を生み出せる趙なので、読者目線で『武安だけでホントに10万人も兵力いたの? 王都兵以外にどっからその援軍は湧いて出てきたの? ホントにそんな多くの武安軍が居たら、番吾から引き上げてくる王翦を挟撃して、とっくに閼与奪還できたよね?(汗)』みたいな、毎回毎回以上の謎展開は、後々、趙軍に対してはお楽しみな部分ではあるのですが…、(苦笑)
同じく、あるいはそれ以上に、相変わらずどころか、いつも以上に、ここでも何も働かない楊端和と王翦こそは、極めて大きな問題武将です!!
秦軍最大の問題は、趙軍に対して何ら抑止力として機能していない、楊端和と王翦のダブルニートの存在であると言っても過言ではありません。
また、楊端和軍って、番吾戦の決着が余りに早すぎたせいで、大した損耗も発生していませんし、王翦軍にしたって、先週閼与に8万人も追加動員されたとか言ってませんでしたっけ??
つーか、8万って、それって、そもそも番吾でロストした本軍3万、亜光軍1万、倉央軍1万よりも、遥かに多いじゃないですか??(ほとんどが新兵だとは言え。)
蒙恬よりも多く派兵してもらっているクセに、なんで、それで武安を牽制すらできないのか意味が分かりません。(動員内容が新規兵なのは蒙恬も同じ。)
王翦『亜光、田里弥を偲びつつ静観するか。。』じゃないでしょう。
もう、最低限でもいいよ、楊端和も王翦も、最低限でいいので、頼むからキチンと働いてよ!(泣)と私は言いたい。
キングダムネタバレ-韓の首脳と迎撃態勢
さて、漸く今回の戦争の当事者国である韓の様子が描き出されます。
この点は、流石といいますか、韓非子編でも描かれた通りに、キングダム内の諜報大国である韓らしく、既に秦国内に在る密偵から、秦軍の大きな動きの全容として、秦国内の戸籍作りからの全土動員、その軍の大半が南下した事実、玉鳳、楽華の対魏対趙戦線の封じ込め、すでに玉鳳軍が洛紫を陥落させた事実が、韓にも伝わっている様が描かれます。
韓の実務トップである張宰相にして、秦軍が韓新鄭を狙っている事は既に明白。
キツマン寧公主(処女)『そ、そんなことが出来る訳がありません!』
再登場して、相変わらずキレキャラの寧公主。
彼女って、こんな軍議するような場所にまでいるもんなんですね。(笑)
ここで洛亜完将軍が登場。
洛亜完『その通りだ、韓が七国最小だとは言え、兵力は充足している。特にこの新鄭は鄴、邯鄲に並ぶ最強の堅城、仮に30万が来たとしても簡単には落ちはせん。』
しかし―、
ここで、急報が入ります。
既に秦軍が国境を越え侵攻してきた事が報告されます。
秦軍の規模は不明ながらも、目標地点は“南陽”。
以降、三国志等の史実でも何度も目にする、中原要地の一つです。
キングダム世界でも、新鄭を分断する要所である事が分かります。
それだけに、韓の第二将博王谷なる、実力者が守る強力軍基地であるようなのですが…、今の韓にとって問題なのは、秦軍の規模です。
野戦でも守城でも戦える博王谷とのことですが、南陽軍で支えられる敵の想定規模は、約10万がキャパシティーであると、洛亜完は把握しています。
(※この点、両軍の武将が野戦を選択するのか、支城を含めた拠点攻防(攻城戦)中心を選択するのかは、毎回、作戦考察する上で楽しい局面であります。)
ここで立て続けに急報が入り―、
侵入軍の先鋒の軍容が報告されます。
その軍6万、李信率いる飛信隊。
モブ大臣『洛亜完将軍!?六万なら大丈夫ですなww』
洛亜完『…。』
ちょ、おま…?
オイいいいいいいいいい!?
早速、モブが…、モブ自らが自軍の滅亡フラグを立てやがったよ。(汗)
このモブ大臣の台詞のお陰で、韓の第二将博王谷が急造モブ武将になっちまったんじゃないのか?(合掌)
ってゆうか?
韓の国、諜報大国とか言っておきながら、明らかに対中央方面である騰軍に十万規模が配備されているとか、何で隣国の魏がそんなにノンビリしているの?とか、もっと重大で、先に対処しなきゃいけないクリティカルなマターがあるのに、どうしてそれらの方が“御座なり”になってんだろう?
洛亜完たち、軍をバックアップできるのは張宰相しかいなさそう。
将軍たちの戦術どうこうだけで無しに、ここは外交で張宰相が一番頑張らなきゃいけないと思うんだが…、
なんでしょう? 名宰相の成せる業なのか? めちゃクチャ、ノンビリなさっておられます。。
- キングダムネタバレ最新805話 以上
次回もこの先の展開について、キングダムネタバレ予想をすすめていきたいと思います。
皆さんの予想やコメントもいただけると嬉しいです。どうぞお気軽に。