2026年6月11日発売の『週刊ヤングジャンプ』28号掲載、『キングダム』第878話「同じ形」のネタバレと感想になります。
第878話「同じ形」ネタバレ
邯鄲攻城戦を開始した飛信隊でしたが、その背後に李牧さん率いる趙軍本隊が姿を現したことで、戦場全体が凍り付いたような空気に包まれます。
その様子を見ていた趙軍の軍師・琉安は、
「見事にはめられたね、飛信隊こと李信軍。長い戦い、お疲れ様」
と余裕の笑みを浮かべます。
場面は少し前に遡ります。
李牧さんは琉安に対し、第二防衛線が突破された場合の対応策を事前に説明していました。
李牧さんの読みでは、突破してくるのは飛信隊。
その場合、羌瘣軍や蒙恬軍が殿軍となって趙軍の追撃を食い止めるため、趙軍は軍勢を二割と八割に分けるといいます。
二割は正面から殿軍に攻撃を仕掛け、残る八割は趙国内の裏道や迂回路を利用して飛信隊を追跡する作戦でした。
しかし琉安は疑問を呈します。
「それでは飛信隊に追いつく前に、邯鄲へ到着されてしまうのではないですか」
それに対し李牧さんは、
「構いません」
と断言します。
飛信隊には本格的な攻城準備がなく、大量の梯子を作るだけでも半日以上かかる。
つまり飛信隊が邯鄲に到着した後でも十分間に合うという計算でした。
さらに李牧さんは驚くべき作戦の全容を語ります。
それは――
飛信隊が攻城戦を開始するまで、あえて待機するというもの。
そして攻城戦が始まった瞬間、背後から総攻撃を仕掛ける。
まさに飛信隊を邯鄲へ押し付け、そのまま圧死・殲滅する作戦でした。
傅抵もこの状況を見て、
「軍略で一番やってはいけないのは、逃げ場のない場所で背後を突かれることだ」
と語ります。
しかも飛信隊は背中どころか、完全に無防備な状態。
「マジで詰みだぞ飛信隊……」
そう評しながらも、
「王都をこんな使い方をするなんて、やっぱり中華で一番ぶっ飛んでいるのは李牧さんだ」
と改めて李牧さんの恐ろしさを実感していました。
一方、飛信隊側。
河了貂ですら思考停止するほどの絶望的状況となります。
そして信は、この光景を見て手を震わせます。
崇原、田有、尾平たちも同様でした。
彼らの脳裏によみがえったのは、十五年前の馬陽の戦い。
あの時も王騎将軍が龐煖を追い詰めた直後、李牧さん率いる趙軍本隊が姿を現しました。
そして王騎将軍は命を落としました。
今の状況は、まさにあの時と同じ形だったのです。
その頃、羌瘣も異変を察知します。
自軍も包囲されつつある中、
「信を助けに行かなければ」
と飛び出し、羌瘣軍も後に続きます。
それを見た馬呈は、
「ここで劉冬の仇を取らせてもらう」
と羌瘣へ向けて言葉を投げかけます。
我に返った河了貂は即座に命令を出します。
攻城戦を中止し、後方に向けて防御陣形を組め。
とにかく信を守れ――と。
しかし趙軍もすでに総攻撃の準備を終えていました。
信は李牧さんを睨みつけます。
「またお前に……してやられるってのか……李牧……!」
そんな信に対し、李牧さんは静かに語ります。
「奇しくも王騎が死んだ馬陽と同じ形になりましたね」
「つまり、あなた方はもう助からないということです」
「邯鄲に眠りなさい、李信」
そして次の瞬間――
趙軍全軍による総攻撃が開始されるのでした。
さて、ここからは全力で突っ込みます、、、、。
ツッコミどころ① なぜ飛信隊だけが単独で邯鄲に着いているのか?
正直なところ、前々回の記事で私が指摘した不安が、そのまま的中してしまいました。
今回の展開を読む限り、
「李牧さんの策が見事だった」
というより、
「飛信隊が勝手に単独行動してくれた」
ようにしか見えません。
そもそも飛信隊は、李信軍本隊だけで約6万。
さらにヨコヨコ軍などの友軍を含めれば、作戦上は10万規模を超える軍勢だったはずです。
ところが、邯鄲に到着してみると、なぜか飛信隊の周囲にはほとんど味方がいません。
録嗚未軍は?
山の民軍は?
その他の突破回廊を形成していた秦軍は?
誰もついて来ていません。
いや、そんなことあります?
普通は最前線を突破した部隊がいれば、その突破口を利用して後続部隊も雪崩れ込むはずです。
むしろ軍事的にはそのために突破するわけです。
それなのに、なぜか飛信隊だけが単独で邯鄲に到着し、孤立無援で攻城戦を始めています。
これでは李牧さんの策が冴えていたというより、
「飛信隊が自発的に包囲殲滅ポイントへ突っ込んだ」
ように見えてしまいます。
ツッコミどころ② 李信と河了貂は何をしていたのか?
さらに気になるのが情報収集です。
李信はすでに将軍。
河了貂も歴戦の軍師です。
ここまでの戦いで秦軍は大量の斥候や連絡網を運用してきました。
にもかかわらず、
・追撃してくる趙軍の規模が分からない
・周囲の友軍位置が分からない
・背後から接近する大軍に気付かない
・孤立していることに気付かない
という状態になっています。
これはさすがに不自然です。
飛信隊はもともと情報戦にも強い部隊でした。
精密射撃粒子を領域展開できる昂クンがいるのに、今回のキングダムの展開は明らかに不自然です。
王賁軍や楽華軍との連携も何度も経験しています。
その飛信隊が、まるで山賊団のように勢いだけで邯鄲へ突撃しているのは違和感があります。
ツッコミどころ③ 邯鄲攻城戦そのものが成立していない
そして最大の疑問。
飛信隊は何を目的に攻城戦を始めたのでしょうか。
攻城戦の基本は包囲です。
しかし飛信隊は邯鄲を包囲していません。
四方を囲む兵力もありません。
兵糧攻めもできません。
城壁一面に梯子を掛けているだけです。
これでは攻城戦というより、
「城壁に対する正面突撃」
です。
しかも相手は趙王都・邯鄲。
中華最大級の城です。
一万程度の兵力で落とせるような城ではありません。
王翦軍本隊や楊端和軍が到着して初めて意味がある作戦だったはずです。
ツッコミどころ④ 李牧さんの軍だけワープしている
さらに今回最大の問題。
李牧さんの軍だけ移動速度がおかしい。
作中では、
傅抵軍
紀彗軍
馬風慈軍
骨珉伯軍
その他諸軍
が迂回路を通って集結したことになっています。
しかし、それだけの大軍が移動しているなら、
その周辺で戦っていた秦軍も当然動きを察知します。
むしろ、
「李牧軍が消えた!」
となれば、秦軍も追撃するはずです。
ところが作中では、
李牧軍だけが綺麗に飛信隊の背後へ出現しています。
もはや軍略というより、
1943年のフィラデルフィア計画です。
趙軍だけ空間転移に成功しています。
しかもアメリカ海軍は失敗したのに、
李牧さんは、こういったワープ作戦に毎回成功しています。
それなのに何故負けるのか?
逆に言えば、
毎回これだけ都合よく軍隊をワープさせられるのに負ける方が難しい気がします。
・兵站を無視する
・移動時間を無視する
・友軍の存在を消す
・敵軍の索敵能力を封印する
・必要な場所へ必要な兵力が瞬間移動する
ここまで揃えば、本来は無敵です。
それでも最終的に李牧さんは負けるのだから、
実はキングダム世界最大の謎は、
「なぜ李牧さんは負けるのか」
だと思います。
感想
今回は完全に「馬陽の戦い」の再現回でした。
李牧さん自身が明確に馬陽を口にし、読者にも強く過去の記憶を想起させる構成になっています。
王騎将軍を失ったあの日と同じ状況。
そして今度はその立場に信自身が置かれているという演出は非常に強烈でした。
また、今回改めて感じたのは李牧さんの異常なまでの徹底ぶりです。
普通であれば王都防衛を最優先に考えるところですが、李牧さんは王都そのものを巨大な罠として利用しました。
飛信隊を邯鄲の城壁に貼り付けた状態で挟撃するという発想は、まさに李牧さんらしい冷徹な軍略です。
一方で、これだけ絶望的な状況を描いた以上、このまま飛信隊が壊滅するとは考えにくいところです。
問題は、誰がどのような形でこの窮地を打開するのか。
次回以降、蒙恬軍、羌瘣軍、あるいは楽華軍方面の動きも含めて注目していきたいところです。
ま、神(作者)様としても、これくらい飛信隊に無理ゲーを押しつけでもしないと、昂クンを投入できないという事情があっての判断なのでしょう。
ま、こんなことくらい、当ブログの読者様は全員お気づきのことでしょうが。
昂クンを執拗に封じこめる、編集部を騙すには、これくらいの不自然描写がないと難しいですからねww